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妖精伝説(出版業界のみなさまへのご提案 原稿例)

皆様は、妖精と聞けばどのようなイメージを
持たれているでしょうか?

「白い羽が生えているドレスを着てたかわいい少女」。
あるいは、「幸せを運んでくれる小人」。
日本で妖精といえば、美しくて豊かさをもたらしてくれる姿が想像されがちかもしれません。

ただ、イギリスをはじめヨーロッパにおける妖精は、
少し様子が異なっています。

民話や伝承には、妖精にまつわるエピソードが
数多く残っていて、さまざまな個性を持った妖精たちが、
登場するのですが、姿や性格も千差万別なのです。

たとえば、陽気な小人の妖精であるエサースロンは、面倒見もよく、
困った人がいると放っておけない性格の妖精です。
困っている人を見つけると、夜に、仲間を連れてきて、にぎやかにさわぎながら
家事を手伝ったりしてくれるなどして、その家はどんどん豊かになるといわれています。

水の精霊であるグウレイヴは、金色の髪をした美しい妖精です。
普段はウエールズ湖に棲んでいて、湖の上に舟をうかべたりして遊んでいます。
チーズやパンが好きで、人間と結婚することもあるという妖精です。

ただヨーロッパの妖精は、ただ美しくて豊かさを運んでくれる存在とは限りません。
もちろん、きれいな姿をしていたり、善い行いをしてくれる妖精もたくさんいます。
しかし一方では、意地悪だったり、恐ろしい姿をしている妖精もいるのです。

たとえば、馬の姿をした水の精霊であるケルビーは、スコットランドに棲む妖精です。
普段は、草原で草をのんびりと食べていますが、人間が近づいて触れると、
手がくっついてしまい、離れなくなってしまいます。
もし背に乗ろうものなら、水のなかに引きずりこまれてしまいます。

イングランドの南西部に棲息しているピクシーは、体長20cmほどの妖精です。
耳がとんがり、大きな口をしています。
いたずら好きで、旅人が来るたびに、現れて道を迷わせようとします。
ピクシーのいう方向についていけば、旅人は、目的地にたどり着くことが
できなくなってしまいます。

なかには、いたずらが好きで、「取替え子」をする妖精もいます。
悪い妖精が、自分の子供と人間の子供を取り替えてしまうというものです。
妖精の子供はいつまで経っても大きくなりません。
ですから、わが子と思って一生懸命子供を育てた人間は、
何年経ってもわが子が大きくならないので困り果ててしまうのです。
ですから、ヨーロッパの地域によっては、鉄製のものを赤ちゃんのゆりかごのなかに
入れておく風習が残っています。
妖精は、金属が苦手で、寄ってこないと考えられているからです。

ほかにも、森に棲む妖精インプ、
リンゴの木の精であるアップルツリーマン、
尖った耳を持つ少女の姿をしたエインセルほか、
いろいろな個性的な妖精がいて、その容姿はさまざまです。

そのような妖精たちですが、普段からお目にかかれるものではありません。
というのは、妖精の多くは気まぐれで、人に見られることを極度に嫌うのです。
もしお目にかかれるとしたら、古い場所や自然が豊かな地方において、
その確率が高いとされています。

たとえば、遺跡や古い住居の跡、湖、草原、洞窟など。
そういったさびれた土地や緑に溢れた場所を妖精は好むと考えられているのです。

一年において、妖精を見ることができやすい日というのはあります。
たとえば、5月1日やハローウィンのときなどです。
それらの日は、妖精が人間界に最も近づくと考えられているからだとか。

時間でいえば、日没後の直後、影の消える午後、朝日が昇る前などが、
妖精が現れる確率が高いといわれています。

その場にいてもなかなか気づかない妖精たちですが、
妖精が見えやすくなるおまじないというものもあります。
たとえば、オリーブ油やマリーゴールドで作った薬をまぶたに塗ったり、
四葉のクローバーを頭に載せるなど。
そうすることで、妖精がいることに気がつきやすくなるといわれています。

国や地域によって、妖精にまつわる伝承やエピソードはさまざまです。

妖精たちは人間にはない力を持つ一方で、どこか人間と共通する面を兼ね備え持つ
憎めない存在といえるかもしれません。
いろいろな個性を備えた妖精たちは、今も昔も、人々の生活に、
ロマンや教訓を与えてくれています。


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